REPORT

令和7年6月定例会(第363回)

一般質問|2025年6月24日(火)

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議員名

工藤 将之(くどう まさゆき)

選挙区 / 会派

桜井市選挙区 | 日本維新の会

質問種別

一般質問 5テーマ+要望1件

答弁者

山下知事 / 教育長 / 県土マネジメント部長

市町村支援 土地利用 参道整備 不登校 生理用品

成果ハイライト

  • 知事が「今月中(2025年6月中)に勉強会を立ち上げ、制度見直しの方向性を検討する」と具体的な行動宣言
  • 奈良県43市町村の格差(人口1,000倍・面積165倍)を議場で可視化し、前向き答弁を確保
  • 大神神社参道の電線共同溝整備が「今年度中に完成」と具体時期を確認
  • 不登校支援「ならコネクト」中3進学支援 15名→21名を引き出し、公式記録に残す
  • 生理用品配置率 0.4% vs 北海道98.2% を提示し、アンケート実施のコミットメントを促進
01

県内市町村への支援

課題意識・問題提起

奈良県内43市町村は、人口規模・面積・財政力において極めて大きな格差を抱えている。最大と最小では人口が約1,000倍、面積が約165倍もの開きがあり、大都市と限界集落が同じ県内に共存している。工藤議員は「同じ県民として同水準のサービスを受けられるよう、県が積極的に市町村を支援すべき」という観点から質問に臨んだ。

項目奈良県43市町村の実態
人口格差(最大vs最小)約1,000倍
面積格差(最大vs最小)約165倍
課題南部・東部の小規模自治体は人口減少・財政縮小で行政サービス維持が困難
参考モデル三重県:県が主導して市町村の広域連携・DX化を支援

工藤議員の質問・主張

  • 三重県の取り組みを具体的なモデルとして紹介し、「奈良県でも県が主体となって市町村のデジタル化・業務効率化を支援できないか」と提案。
  • ふるさと納税について、複数市町村が共通返礼品を用意して連携する「共通返礼品制度」の導入を提案。小規模自治体でも競争力のある返礼品を出せるよう、県が仲介役を担うべきと訴えた。
  • 公共交通の維持・再編について、県が財政支援・調整役として介入する必要性を訴えた。
  • 「市町村合併で解決できる時代は終わった。合併ではなく、独立性を保ちながら県の支援で行政サービスを維持できる仕組みが必要だ」と方向性を示した。

行政側の回答(山下知事)

山下知事
格差の認識

奈良県43市町村の格差について同様の問題意識を持つと明言。南部・東部の持続可能性が県政の重要課題であると確認した。

デジタル化支援

市町村の情報システム標準化・共同利用に県が積極的に関与し、コスト削減と業務効率化を後押しする方針。

ふるさと納税

共通返礼品の連携について、県が各市町村と連携を図る方向で検討を進める姿勢を示した。

公共交通

県が主体的に調整・財政支援を行う方針を確認。特に南部・東部の路線維持に積極的役割を果たすと答弁。

成果・意義

人口1,000倍・面積165倍という具体的数字で格差を可視化し、知事から「重要課題」という認識を引き出した。DX・ふるさと納税・公共交通という具体メニューで前向き答弁を確保した。

02

土地利用制度(市街化調整区域)

課題意識・問題提起

高度成長期に「開発を抑制する」ために作られた市街化調整区域の規制が、人口減少時代の山間部では「移住・定住を妨げる」制度的矛盾として機能している。「来てほしい地域に人が来られない」というジレンマがある。

項目内容
問題の構造移住希望者が土地を取得しても家が建てられないなど、制度が人口減少対策の障壁になっている。

工藤議員の質問・主張

  • 「時代が変わった。線引き制度が南部・東部の人口減少を加速させている」と制度改革の必要性を直接提起。
  • 「移住希望者が土地を取得しても家が建てられない」という現場の声を代弁し、具体的障壁の除去を求めた。
  • 無秩序な開発を防ぎつつ、過疎地域では思い切った規制緩和が地域再生につながると主張。

行政側の回答(山下知事)

山下知事
問題意識の共有

線引き制度が移住促進の制度的障壁になっている面があるという問題意識を共有すると明言。

★ 勉強会の立ち上げ

「今月中(2025年6月中)に勉強会を立ち上げ、制度見直しの方向性を検討する」と行動宣言。

制度設計のスケジュール

「今年度中(2025年度中)に具体的な制度設計を行う」と明言。

成果・意義

「今月中に勉強会・今年度中に制度設計」という期限付きコミットメントを引き出し、政策転換の起点を作った。

03

大神神社参道整備

課題意識・問題提起

大神神社(三輪山)は日本最古の神社の一つで、年間を通じて多くの参拝者・観光客が訪れる奈良県を代表する観光地。その参道にあたる一般県道三輪山線は、狭隘・電線類が景観を損なうなどの課題があり、整備が求められていた。平成29年(2017年)に整備事業化されたものの、JR三輪駅の東西で状況が異なっており、整備の進捗に差が生じている。

区間状況・進捗
JR三輪駅より東側今年度(令和7年度)中に電線共同溝の整備完成予定
JR三輪駅より西側地元・道路管理者・関係機関による検討会議で継続協議中
事業化平成29年(2017年)に一般県道三輪山線整備事業として事業化

工藤議員の質問・主張

  • 「平成29年に事業化してから何年経過しているか。参拝者・観光客が増え続ける中で、景観整備を一刻も早く完成させてほしい」と事業加速を求めた。
  • JR西側の整備については「検討会議が続いているとのことだが、いつ具体的な方針が決まるのか。もっとスピードアップしてほしい」と継続協議の長期化を懸念した。
  • 大神神社参道の景観整備は、桜井市全体の観光振興・インバウンド誘致にも直結する重要案件であり、県が積極的に関与するよう求めた。

行政側の回答(県土マネジメント部長)

県土マネジメント部長
JR東側の進捗

電線共同溝の整備は今年度(令和7年度)中に完成する予定。完成すれば参道の電線類が地中化され、景観が大きく改善される見込み。

JR西側の対応

地元関係者・道路管理者・関係機関が参加する検討会議において継続的に協議を進めている。引き続き会議を通じて合意形成を図り、整備の方向性を決めていく方針。

成果・意義

JR東側の電線共同溝整備が「今年度中完成」という具体的な完成時期を公式に確認した。日本最古の神社の一つである大神神社の参道整備は地元桜井市の観光振興に直結する案件であり、議会の場で進捗状況を公式記録に残したことで、行政側に対する継続的な進捗管理の根拠が生まれた。

04

不登校支援(ならコネクト)

課題意識・問題提起

全国的に不登校児童生徒数が急増している中、奈良県では従来の「フレキシスクール」事業を発展させ、「ならコネクト」という新たな不登校支援の仕組みへと移行することとした。工藤議員はこの新しい支援の内容・実績・課題を具体的な数字で確認するとともに、特に中学3年生の進路(高校進学)支援や、メタバースなど新技術の活用について深堀りした。

指標実績・状況
ならコネクト登録者数(現時点)44名
中3の高校進学支援実績(令和5年度)15名が進学
中3の高校進学支援実績(令和6年度)21名が進学(R5比+6名増)
今後の対象拡大小学5〜6年生への拡大を予定
新機能メタバース(仮想空間)を活用した交流・学習環境の導入
開校予定令和7年6月末に開校予定

工藤議員の質問・主張

  • 「フレキシスクールからならコネクトへ移行する意図・ねらいは何か。何が変わるのか」と制度の本質的な変化を確認した。
  • 「中3で不登校の生徒が高校に進学できるよう、具体的にどんな支援をしているか」と個別の進路支援の中身を質問。令和5年度15名・令和6年度21名という具体的な進学実績を引き出した。
  • 「メタバースを活用した学習・交流環境の整備は実際に機能しているのか。効果を教えてほしい」と新技術の実効性を検証した。
  • 「小5・小6への拡大は重要。早期から支援につなげることで、中学での孤立を防げる可能性がある」と早期介入の重要性を訴えた。

行政側の回答(教育長)

教育長
ならコネクトの特徴

フレキシスクールの実績・ノウハウを継承しつつ、オンラインとリアルを組み合わせた多様な学習・交流の場を提供する。メタバース空間での交流や、個別の進路相談・進学支援を強化した新しい形の支援拠点として令和7年6月末に開校予定。

中3の進学支援実績

令和5年度に支援した中3生15名、令和6年度は21名が高校へ進学。個別の進路面談・高校への情報提供・受験サポートを組み合わせた支援の成果が数字に表れている。

メタバース活用

仮想空間(メタバース)を活用することで、外出困難な不登校生徒が自宅にいながら他の生徒や支援者と交流できる環境を整備。学習機会の確保とともに、社会的なつながりを維持することで孤立防止に効果があると評価している。

小5・6年生への拡大

これまでの中学生中心の支援から、小学5・6年生にも対象を広げる方向で準備を進めている。早期から支援につなげることで、不登校の長期化・深刻化を防ぐ効果が期待される。

成果・意義

「令和5年度15名→令和6年度21名」という具体的な高校進学実績の向上を議会の場で確認し、支援が着実に成果を出していることを公式記録に残した。メタバース活用・小5〜6拡大という新しい取り組みについても答弁を引き出し、不登校支援の進化を県民に伝える議事録を作成した。「ならコネクト」という新制度への移行を追いかけ、今後も成果を継続的に検証する姿勢を示した。

05

学校トイレの生理用品配置

課題意識・問題提起

「生理の貧困」問題は近年社会的に注目を集めており、経済的な理由で生理用品を購入できない女子生徒への支援として、学校のトイレに生理用品を配置する取り組みが全国的に広がっている。しかし奈良県内の学校では、この取り組みが極めて遅れているという現状がある。工藤議員は都道府県別の実態調査のデータを持ち込み、奈良県と全国最先進の北海道を数字で比較しながら、「なぜこれほど差がついているのか」「何が障壁なのか」を徹底的に追及した。

都道府県学校トイレへの生理用品配置率備考
北海道98.2%工藤議員が北海道担当職員に直接電話でヒアリング実施
奈良県0.4%(アンケート結果)実質的にほぼ未実施の状態
全国平均調査中都道府県間で大きな格差

工藤議員の質問・主張(北海道への直接ヒアリング含む)

  • 奈良県のアンケート結果が0.4%という数字を議会の場に持ち込み、北海道の98.2%との圧倒的な差を可視化した。「この差はなぜ生まれるのか」と行政の姿勢を問うた。
  • 工藤議員自身が北海道の担当職員に直接電話でヒアリングを実施し、「どうやって98.2%を実現したのか」「財源はどうしているのか」「管理上の課題は何か」という実践的な情報を収集した上で議会に臨んだ。
  • 「財源・衛生管理・補充の手間という課題があることは分かる。しかし北海道は98.2%を実現している。できない理由ではなく、どうすれば実現できるかを考えてほしい」と前向きな姿勢を求めた。
  • 学校現場のアンケートを実施して実態を正確に把握することを要求。「0.4%という数字が正しいなら、何が障壁かを具体的に分析してほしい」と調査・分析の実施を求めた。

行政側の回答(教育長)

教育長
現状の認識

奈良県内の県立学校においてトイレへの生理用品配置が進んでいないことを認めた。配置にあたっての課題として、財源確保・定期的な補充の仕組みづくり・衛生管理などを挙げた。

★ アンケート実施

工藤議員の要求を受け、学校現場における生理用品配置の実態について、具体的なアンケートを実施する方向で検討すると回答。実態把握を先行して行い、その結果をもとに対応策を検討するとした。

今後の方針

北海道の取り組みを参考にしながら、財源・管理体制の整備を含めた実現可能な仕組みを検討していくとした。生徒が必要な時に生理用品を取り出しやすい環境を整えることが重要との認識を示した。

成果・意義

議員自身が北海道の担当職員に直接電話ヒアリングを行い、「98.2%実現の秘訣」という一次情報を議会に持ち込むという踏み込んだ調査活動が際立つ。奈良県0.4%・北海道98.2%という数字の対比を公式記録に残し、「遅れている事実」を議事録に刻んだ。教育長からアンケート実施のコミットメントを引き出し、実態調査→改善という政策サイクルの起点を作った。

要望

フードバンクへの備蓄米配布

要望の内容

令和6〜7年にかけての米価高騰は、低所得世帯・子育て家庭にとって家計を直撃する問題となった。政府は政策備蓄米(国が保有する非常時用の米)の放出を行ったが、工藤議員は「備蓄米が本当に必要な人のもとに届いていない」という現状に問題意識を持ち、質問の最後に要望として取り上げた。

項目内容
問題の核心備蓄米の放出は市場への流通を通じた価格抑制が主目的であり、フードバンクや支援団体を通じた低所得世帯への直接配布には必ずしも結びついていない。「備蓄米が市場に出ても、本当に困っている人が安く買えるわけではない」という構造的な問題。
  • 県として、フードバンクや子ども食堂・NPO等を通じた備蓄米の配布支援に取り組むよう要望。
  • 米価高騰で最も打撃を受けている子育て世帯・低所得世帯に直接届く支援策の検討を求めた。
  • 「物価高騰は今も続いている。国の政策だけを待つのではなく、県としてできることをやってほしい」と県独自の機動的な対応を求めた。

意義

物価高騰・米価上昇という生活直結の問題について、「備蓄米の放出」という国レベルの政策と「本当に必要な人に届けるラストワンマイル」という地方行政の役割を分けて考える視点を提示した。フードバンク・子ども食堂等のNPOネットワークを活用した支援という具体的な政策メニューを提案し、県の対応を促した。

工藤議員の質問を貫く3つの視点

地元・桜井市への目配り

大神神社参道整備・フードバンクへの米配布など、地元の具体的課題を県政に届ける。

自ら動く・一次情報の収集

北海道担当職員への直接電話など、一次情報を自ら収集して議会に持ち込む行動力。

具体的な数字で行政を動かす

「人口1,000倍・面積165倍」「0.4% vs 98.2%」など数値比較で課題を可視化し、答弁を引き出す。

出典:奈良県議会 令和7年6月定例会(第363回)会議録 2025年6月24日

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